『シロアリ 女王様、その手がありましたか!』からの引用3
羽アリは一度に大量に出現するので、今までかなり嫌いだったのですが、引きこもったら殺されるということなので、今後は許せそうです。殺されちゃうなら仕方ないよなあ…。
恋の季節が近づくと、年頃のオスとメスには翅が生えてくる。そう、これがシロアリの「羽アリ」(有翅虫)だ。五月初旬から下旬にかけて、羽アリは出会いを求めて一斉に飛び立つ(図15)。
それまで、がっちりした巣と兵アリやワーカーに守られていた羽アリにとって、いきなり母巣を離れた無防備な状態で、生き残ることは至難の業である。飛び立った羽アリが無事に新たな巣を創設できる確率は、大ざっぱにいって何万分の一という話だ。そうでなければ、世の中がシロアリで溢れかえってしまう。つまり、羽アリにとって巣を飛び立つことは、ほとんどの場合、死を意味するのだ。かわいそうな羽アリたちは、飛び立った直後から次々と鳥に捕食されていく。
しかし、いったん羽アリとなったら最後、巣にとどまることは許されない。一斉に群飛するタイミングで巣を飛び立たなかった弱気な(?)羽アリは、なんと巣の中ですべてワーカーの攻撃を受けて殺されることになる。ためしに巣の出口を塞いで羽アリが出られないようにすると、羽アリは巣の中で全滅してしまったのである。
シロアリ 女王様、その手がありましたか! P33『3 カップル成立』 より
シロアリ――女王様、その手がありましたか! (岩波科学ライブラリー 〈生きもの〉)
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