『シロアリ 女王様、その手がありましたか!』からの引用2
どこで獲得してきた能力なのでしょうね。水没する率だったらシロアリの巣にしてもアリの巣にしても大差ないだろうしなあ。それにしても、観察って本当に大事ですね。
実験で使い終わったシロアリのワーカーを、熱帯魚の餌にするために水槽の中に入れてみたところ、偶然に面白いことがわかった。運よく魚に食われなかったシロアリが、水槽の中で何日も生きたまま歩いていたのだ(図14)。水に酸素を送り込んでいれば、シロアリは何と最長で一二日間も水の中で生き続けたのだ。空気だけ送り込んでも三日は生きられる。酸素の代わりに窒素を水に送り込んでもシロアリは生きられないので、シロアリには水に溶けた酸素(溶存酸素)を利用する能力があることがわかる。溶存酸素を利用できるのは、ユスリカの幼虫など水生昆虫では一般的だが、シロアリのような陸生昆虫ではきわめてまれなケースである。アリを水につければ五分で死んでしまうことからも、このシロアリの特殊能力のすごさがわかるだろう。
シロアリ 女王様、その手がありましたか! P28『2 シロアリとは何者か?』 より
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