思考の消化器官

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最近読んだ無料漫画 『もがりの首』

もがりの首 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
表紙からして水木しげる氏の影響がわかりますね。確認してみると森野達弥氏は水木プロの出身なのですね。師匠に似るのは当然でしょう。私はそれほど水木作品に触れている訳ではありませんが、水木作品と比較すると可愛さが少ないかな、といった印象がありました。

『もがりの首』はこの1冊だけのようですね。ちなみに期間限定無料版は1~3話だけが収録してあり、4~6話は収録されていません。違いがあるのならば、その辺りのこともしっかりとわかり易く記載しておいて欲しいものです。3話の欄外に「4話目以降は第1巻にて掲載!」とは書かかれてはいますが、説明不足だとしか思えませんでした。続刊がない状態で、期間限定とは言え、無料版とそうでないものの違いがなければいくら面白くてもなかなか買おうと思えるものではないですよ。

お話としては、そもそも「もがりの首」が何なのかがよくわかりませんけれども、虐げられる民衆の復讐をする妖怪、ということなのでしょうかね。ちなみに「もがり」とは以下のような意味みたいです。

殯(もがり)とは、日本の古代に行われていた葬儀儀礼で、死者を本葬するまでのかなり長い期間、棺に遺体を仮安置し、別れを惜しみ、死者の霊魂を畏れ、かつ慰め、死者の復活を願いつつも遺体の腐敗・白骨化などの物理的変化を確認することにより、死者の最終的な「死」を確認すること。その棺を安置する場所をも指すことがある。

『もがりの首』は時代として戦国時代末期が描かれていますが、Wikipediaの記載を信じるならば、「殯」という儀式自体は仏教伝来辺りで急速に衰退してしまったようですね。まあ、儀式自体を描いている訳ではないので、それほど気にするところでもないとは思いますが…。

後、気になったのは復讐を果たすべき不幸が起こる前になぜ「もがり」がその不幸の起こる人々の元にいられるのか、というところの描写がなかった点でしょうか。まあ、この時代に生きる人々には必ず不幸があった、みたいなことであればどこに「もがり」がいても不思議はないのですが…。「もがり」の復讐を果たす対象となる者とそうでない者との差はやはり気になってしまいましたね。

買いたいか、と言われると微妙なのですが、この漫画が10冊単位で刊行されるのであれば、続きはぜひ買って読んでみたいな、と思います。そうなりそうにないのは残念ですね。世界観は大好きでした。