『軽症うつ病』からの引用6
これは自分自身についても言えそうな気がします。悩みの原因を取り除こうとすることが解決法ではなく、取り除くタイミングをはかってみたり、悩みと上手に付き合っていくことにしてみたり、とその時々で方法は異なってきそうです。私の場合は後回しにしがちなので、取り敢えず手を付けるのが一番だと思いますが…。
「何か原因があるはずだ」という俗説を排しましょう
人が悩んでいるのをみると、われわれは何か原因があるはずだ、奥さんとうまくいっていないのではないか、昇任が人より遅れているからではないかなどと考えがちです。現代のカウンセリングでは、こういう独断を厳しく禁じます。かりにその種の原因がその人の悩みにあったとしても、相談の目的はそれをいい当て、それを取り除くことではないのです。われわれ現代人は物事にはすべて原因があり、それを取り除かないことには解決しない、と考えがちです。これはたしかに小学校以来教えこまれてきたある種の真理ではありますが、しかし、心の悩みにはこの種の合理的解決策はほとんど有効でありません。かりに原因があり、それを指摘されたからといって、心の悩みが消えるわけではないのです。
あなたがもし心を白紙にして相手の話を聴いて下さろうとなさるなら、あらかじめ「原因」を仮想していただくのはマイナス以外のなにものでもありません。
軽症うつ病 P235『第七章 職場のメンタルヘルスのために』 より
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