『ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係』からの引用5
正式な名称ではないにしても、「肉ぶとん階級」はインパクト強すぎますよね。
働きデバの一部は、女王に仔が生まれると、床に寝そべってひたすら子どもたちのふとん係に徹し、もぞもぞと動きながら子供たちを保温する役割を果たす場合がある(図13)。これが、肉ぶとん階級である。
デバは体温調節機能を持っていないので、トンネルの中が冷えてくると体の小さい子どもがまっさきに体温を失ってしまう。これを防ぐために、居室で幾重にも積み重なってもぞもぞ動きながら子供たちを保温する、文字通りの「肉のふとん」となるのだ。真社会性ここに極まれり、という感じだが、じつは、一生を肉ぶとんとして過ごす真の肉ぶとん階級が存在するわけではない。仔の養育期間にのみ、働きデバの一部がその役割を果たすのである。したがって、ふとん当番とか、ふとん係とか名づけたほうが実情には見合っているかもしれない。ただ、名前のインパクトゆえ、僕たちの研究チームでは、「肉ぶとん階級」と呼び習わしているのである。
ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 P39『3 デバのくらし』 より
ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 生きもの)
- 作者: 吉田重人,岡ノ谷一夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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