『生物から見た世界』からの引用1
18年を待つことに使う、というのは人間にはあり得ない選択ですよね。
ダニのとまっている枝の下を哺乳類が通りかかるという幸運な偶然がめったにないことはいうまでもない。茂みで待ち伏せるダニの数がどんなに多くても、この不利益を十分埋め合わせて種の存続を確保することはできない。ダニが獲物に偶然出会う確率を高めるには、食物なしで長期間生きられる能力もそなえていなければならない。もちろんダニのこの能力は抜群である。ロストックの動物学研究所では、それまですでに一八年間絶食しているダニが生きたまま保存されていた。ダニはわれわれ人間には不可能な一八年という歳月を待つことができる。
生物から見た世界 P23『序章 環境と環世界』 より
- 作者: ユクスキュル,クリサート,Jakob von Uexk¨ull,日高敏隆,羽田節子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/06/16
- メディア: 文庫
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