思考の消化器官

色々な感想文とか。生活のこととか。

『親指はなぜ太いのか』からの引用3

確かに現生人類が未来の人類へ至る過程である、というのは変な感じがします。後からストーリーを当てはめようとするから、こういったお話になってしまうのでしょうね。

人類学者たちは空想的な話をたくさんするが、この「直立二足歩行が手を自由化し、大脳の発達を促し、ついには文化の創造と発展につながった」というような決まり文句はその典型である。直立二足歩行が確認された最初のアウストラロピテクス属から、脳容量のやや大きな最初のヒト属ホモ・ハビリス(500~800cc)が確認される240万年前や最初の石器が発見される260万年前あるいは250万年前までを考えても150万年以上の年月がある。その期間もその後もアウストラロピテクス属の脳容量は大きくならなかった。それはアウストラロピテクス属が「進化の袋小路」にいたというような後知恵の評価を超越し、彼らがその時代のアフリカに適した動物だったことを物語っている。今、ここに生きているものは、100万年先の形に至る過渡的な形態なのではない。それは最高の形をもった生き物である。100万年後の人類の新種を想像してみて、今の私たちはその新種に至る過渡的形である、と言えば変だとわかるだろう。

親指はなぜ太いのか―直立二足歩行の起原に迫る P160『第7章 初期人類の主食は何か?』 より

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