思考の消化器官

色々な感想文とか。生活のこととか。

『イマドキの動物 ジャコウネコ』からの引用1

ジャコウネコとどの程度、匂いが違うかはわかりませんが、愛犬君も時々凄い匂いの時がありますね(犬の場合は肛門腺だった気がしますが)。最近はあまり感じないので、若い時の方が多かった気がします。嗅覚というよりは脳に直接響いてくるような匂い、というのでしょうか。愛犬君の匂いも、いい匂いとは思えませんが、きっとそれに近い匂いが香水にも使われているのですねえ。シベットコーヒーのお話は結構有名なお話ですね。

私たちも、意外なところで、ジャコウネコ由来の産物を利用することがある。有名なのが、香水の原料として使われることだ。ジャコウネコ科の動物は、他の食肉目にもみられるように、肛門の下側に会陰腺と呼ばれる器官をもっている。この分泌液は、独特の強烈な匂いをもっている。ある論文によれば、「人間の頭皮と陰毛の匂いに似た芳香成分」ということになる(Ward and van Dorp 1981)。ジャコウネコは、この強烈な匂いを岩や倒木などに擦り付けて、自分の存在の誇示や他個体の発情状態の確認など、種内のコミュニケーションに利用しているといわれている。この分泌液(この匂い物質はシベトンCivetoneと呼ばれる)は、香水の補強材や持続剤として利用されており、たとえば、シャネル(CHANEL)の香水(No.5)にもこの成分が含まれているらしい(私には、CHANEL No.5といわれてもなんのことだかよくわからないが)。最近では、アフリカでは、ジャコウネコの一種アフリカジャコウネコCivettictis civettaを飼育して採取しているらしい。肛門に無理やりへらをつっこんで採取するので、一部の動物愛護団体の非難の対象となっている。
もう一つ、ジャコウネコ由来の産物で、比較的知られているのは、シベットコーヒーだろう(図2・4)。シベットコーヒーとは、ジャコウネコ類の糞から回収した豆を使ったコーヒーのことである。世の中にはいろんな研究者がいるもので(そういう自分もその一人だが)、シベットコーヒーの豆と通常豆の間で、その物理的・化学的特性が本当に異なるかについて、大まじめに研究した人もいる(Marcone 2004)。この論文によると、豆表面の特性にふつうのコーヒー豆とは違いが認められたという。シベットの消化管の消化酵素の影響によるのではないかと書かれている。一般には、シベットコーヒーがおいしいのは、ジャコウネコ類が十分に熟した果実を選択的に食べるためだといわれている。後述するように、ジャコウネコ類の習性を考えると、そんなこともあるのかなと思ってしまう。おもしろいことに、ジャコウネコは、コーヒーの実をとくに好んで食べるという。ちなみに、このシベットコーヒー、私も試飲してみたことがある、飲んだ感想は…、本当においしいような気がした。

イマドキの動物 ジャコウネコ P78『第2章 タビンの森のパームシベット』 より

イマドキの動物ジャコウネコ: 真夜中の調査記 (フィールドの生物学)

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