『シロアリ 女王様、その手がありましたか!』からの引用8
この辺りのお話を読んでいると、シロアリが段々とマクロスFのバジュラのように思えてきてしまいました。きっと人間の寿命なんて遥かに超えるような寿命のシロアリもいるのでしょうね。
今のところ、昆虫の年齢を特定する技術は存在しない。一七年ゼミは一七年に一度しか羽化しないので、確実に寿命一七年と特定できるが、社会性昆虫では難しい。アフリカのオオキノコシロアリ属のシロアリの巣が八〇年続いたという推定があるが、王や女王は二次王や二次女王に置き換わっている可能性があるので、そこから寿命を推定するのには無理があるだろう。飼育下では、ムカシシロアリ(Mastotermes Darwiniensis)の創設王と女王が一六年生きた記録がある。まだ確実なことは言えないのだが、昆虫の中で最長の寿命をもつのは、おそらく女王が遺伝的に不老不死化したシロアリの王であろう。ちなみに実験室で一〇年飼育したヤマトシロアリのコロニーでは、王どころか創設女王もまだ若々しい。野外の巨大コロニーの王は、どんなに短く見積もっても三〇年以上は生きているだろう。昆虫の年齢の特定技術が確立されれば、想像を超えた世界が見えてくるかもしれない。
シロアリ 女王様、その手がありましたか! P69『4 女王の分身の術』 より
シロアリ――女王様、その手がありましたか! (岩波科学ライブラリー 〈生きもの〉)
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