『ザリガニ ニホン・アメリカ・ウチダ』からの引用2
効かないにしてもナメクジを生きたまま呑むよりはかなりマシかなあ、と思いますね。確かに脱皮時に形成される結石だなんて、レアアイテムっぽくて何かしら薬効がありそう、と思いたくなる気持ちは少しわかります。
日本にさまざまな西洋医学を紹介したシーボルトも、ザリガニの胃石を薬として認識していて、長崎から江戸の幕府を訪問した際にニホンザリガニを標本として入手しました。その標本はオランダに運ばれ、今でもライデンの自然史博物館で見ることができます(図2・2)。乳白色をしたニホンザリガニの標本は、錠剤のような物体とともに保管されています。これが「胃石」です。
胃石は脱皮時に体内に形成される結石の一種です。当時、胃石は「オクリカンキリ」と呼ばれていました。「蟹の目」という意味です。薬効は「万病に効く」、特に肺病や泌尿器系の疾病に有効とされていました。しかし残念ながら現代の医学では、オクリカンキリに特別な薬効があるとは考えられていません。
ザリガニ ニホン・アメリカ・ウチダ P27『2 ザリガニの日本史』 より
ザリガニ―ニホン・アメリカ・ウチダ (岩波科学ライブラリー)
- 作者: 川井唯史
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