思考の消化器官

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『ザリガニ ニホン・アメリカ・ウチダ』からの引用1

これを読んだだけでもニホンザリガニが競争に勝てそうにないことがよくわかります。外来種が移入されるまでは、それが立派な生存戦略だったのでしょうけれどもね。

ザリガニは一般的に雑食性で、水草や動物の死がいなど、何でも食べてしまいます。アメリカザリガニは動物性の餌を好み、スルメなどで釣れることがよく知られています。同じく米国産のウチダザリガニも肉食性が強く、ニホンザリガニも食べてしまいます。
では、ニホンザリガニの食べ物は何でしょうか。生息地である河川の源流部は水温が低く、多くの樹木に光が遮られています。水はきれいすぎて、苔もあまり生えていません。このような場所に棲むニホンザリガニの主な食べ物は、腐りかけた広葉樹の落葉です。これを顕微鏡で見ると、微生物が大繁殖していることがわかります。植物では不足しがちなタンパク質などの栄養分が、微生物によって補われているのです。腐食した落葉は彼らにとって、微生物で栄養分が強化された「納豆」のような食べ物なのかもしれません。
ただし、彼らにも好みはあります。広葉樹ではシラカバやカエデはよく食べますが、不思議なことにカシワやヤナギの葉は口にしません。また、針葉樹であるマツやスギの葉、そしてササも好みません。カシワやササには生物が嫌う化学物質が含まれ、天然の抗菌作用として柏餅や寿司の保存に役立っています。好んで食べない理由の一つは、その作用が微生物の発生を抑えるため、ニホンザリガニに必要な栄養が乏しいからだと思われます(コーヒーブレイク参照)。

ザリガニ ニホン・アメリカ・ウチダ P18『1 再入門! ザリガニの基礎知識』 より

ザリガニ―ニホン・アメリカ・ウチダ (岩波科学ライブラリー)

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