『スズメ つかず・はなれず・二千年』からの引用4
人間が「末吉」みたいな名前を付けるのとは訳が違いますよねえ。どんな理由があるのか気になります。
スズメはだいたい1日に1卵ずつ産んでいくのですが、最後に産んだ卵だけ、それまでのものと違って、薄い色をしているのです(図30)。これを「止め卵」とよびます。最後に産み止めた卵、ということです。英語では、odd colored egg(奇妙な色の卵)といいます。
卵は雌のおなかの中で受精後、卵殻でつつまれます。そして生み出される前に着色されます。つまり、卵の色はわざわざ塗られているわけです。普通の鳥では、すべての卵が同じ色に塗られるのに、スズメを含むごく一部の鳥では、最後の卵だけが違うのです。
なぜ、最後の卵だけ薄い色なのか? これについて、「最後に産んだ卵がわかると、それを優先的に温めることができる」とか、「暗い巣の中で捕食者から卵を見つけにくくするために色をつけているものの、最後の卵を産むとすぐに抱卵を始めるので、その必要性がなくなるから、最後の卵は薄い色でよい」などの仮説が出されていますが、どれもあまりピンとくる説ではありません。まだ解明されていない謎です。
スズメ つかず・はなれず・二千年 P43『3 人がいないと生きていけない?』 より
スズメ――つかず・はなれず・二千年 (岩波科学ライブラリー〈生きもの〉)
- 作者: 三上修
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/10/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (3件) を見る