思考の消化器官

色々な感想文とか。生活のこととか。

『スズメ つかず・はなれず・二千年』からの引用3

チュンチュン気楽そうに鳴いている気がしてしまいますが、やはり自然は厳しいですね。「この場所はそろそろいける」みたいな酷いお話は人間界にも色々とあるみたいではありますが…。

縄張りをもたないスズメは、互いの巣が近いので、普通の鳥ではまず見られない行動をします。ある巣を観察していると、その巣の家主夫婦ではないスズメがやってきて、中をのぞいていくのです。時には、のぞいている途中に家主が帰ってきて、追っ払われることもあります。おそらく、スズメの営巣場所は限られているので、これから巣を構えたい夫婦たちは、他人の巣の状況を品定めして、もうすぐ終わりそうなら、「この場所はそろそろいける」と、当たりをつけているのでしょう。
さらに、家主がいない隙にやってきて、卵をくわえて巣の外に捨ててしまう行動(図28)も知られています。家主に子育てを失敗させて、その巣を乗っ取るためか、あるいは、これは犯人が雄の場合に限られますが、いま子育てをしている雌を奪うためかもしれません。
イエスズメの研究では、卵どころかヒナを捨てる行動も観察されています。日本のスズメでも、間接的な証拠はいくつかあります。時折、スズメのヒナが地面に落ちているのです(図29)。たまたま巣から落っこちた可能性もありますが、他のスズメにつまみ出されたものも含まれているでしょう。

スズメ つかず・はなれず・二千年 P42『3 人がいないと生きていけない?』 より

スズメ――つかず・はなれず・二千年 (岩波科学ライブラリー〈生きもの〉)

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