思考の消化器官

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『軽症うつ病』からの引用4

私だったらサクッと一番楽な職場を選択しますね。もちろん、業界や職種によってもその意味合いはまったく違ってくるのでしょうけれども。うつ病ではないものの、色々あって一番楽な職場にもどしてもらった私としては、少しでもツラい所にもどらなければならない苦行には耐えられそうにありません。

次に「どの職場にもどすか」ですが、うつ病であれば原則として今までいた職場にもどしてもらうよう進言することに私はしています。対人関係に深刻な葛藤のある例外的な場合、配置を替えることも考えてよいでしょうが、その場合でもできる限りいったんもとの職場にもどして、その上で次の異動の機会を待つのを原則としています。
医師によっては、この場合、本人にとって一番楽な職場、あるいはその人が以前に経験したことのある「お好みの職場」へ異動させることをすすめる人もありますが、私はそれは安全運転ではあるが、次善の策としか考えません。軽症である限り、一、二回のうつ病経験を経た後も会社員としてその後の人生を遜色なく活躍している人が少なからずいることを知っているので、最初から元の職場に退却する安全策を選ぶのは一般論としては消極的にすぎると思うのです。配置転換の直後におこったうつ病であっても、できるだけ新しい職場に復帰してそこでの適応力をためし、それで駄目なときはじめて楽なところへの配置転換をさせてもらうので決して遅くないのではないでしょうか。もちろん、それには職場の上司の理解、それに景気のよしあしなどの諸条件が関係しましょうが。
それに対し関係・迫害観念があって、職場の人が多少とも妄想の対象になっている場合は、たとえ軽症でも、はじめから職場をかえるほうがよいと考えます。その意味でも診断が必要です。
うつ病の人もその経過中に二次的な対人不安、関係観念をいだくことがありますが、たいていそれはうつ病の病勢の軽快とともに消失します。うつ病が治癒すれば、意外と苦労なく元の職場に適応できるものです。

軽症うつ病 P225『第七章 職場のメンタルヘルスのために』 より

軽症うつ病 (講談社現代新書)

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