思考の消化器官

色々な感想文とか。生活のこととか。

『サバがトロより高くなる日』からの引用5

10年経ちますが、その公然の秘密とやらは今でも行われているのでしょうかね。昔の話であって欲しいものです。まあ今でも行われていても不思議には思いませんけれども。

中国産の漁りは九〇年代前半に急増し、需要の半分近くを占めるに至る。だが、これもピークの九三年の四万八千トンを境に減少に転じる。中国産に代わって九〇年代後半から急増したのが北朝鮮のアサリだった。二〇〇一年の北朝鮮からの輸入量は四万七千トンに達した。市場に出回っているアサリのほぼ三分の二が輸入物。四〇%強が北朝鮮産という訳だ。北朝鮮からのアサリの輸入額は約四十五億円で、総輸入額の四分の一近くを占めている。
さて、ここでふと頭に浮かぶのは「一体、店先でそれほどたくさんの輸入モノのアサリを目にするだろうか」、という疑問だ。「木更津産」「熊本産」「国産」などという表示のアサリは目にしても、「中国産」と表示されたアサリはほとんど見かけない。「北朝鮮産」となるとなおさらだ。時々、貝毒が発生した時にだけ、「中国産の貝から貝毒」「毒が出たのは北朝鮮産のアサリだった」などと報じられる程度である。
実は、輸入モノのアサリが、国産のアサリに化ける、あるいはロンダリングされる場所が、国内には多数あるのだ。国内には、輸入モノのアサリを「畜養」する施設が各地に存在している。価格調整や鮮度の回復が必要だ、というのが理由だが、ここでしばらくの間育てられたアサリは、国産モノになって出荷されるという。これは関係者の間では公然の秘密だそうだ。

サバがトロより高くなる日 P206『第三章 不当表示と代用品』 より

サバがトロより高くなる日

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