『ピル』からの引用1
この猫頼み的なお話はどこからやってきたのでしょうね。黒猫が魔女の使い魔だったりするところからだったりするのでしょうか。他の方法も含めてよくわかりません。ただ、その当時の人々が真剣に、そして必死に考えて行ったことであることは間違いないですよね。
例えば古代では、女性の左足に猫の肝臓が入ったチューブを巻いたり、おへその周りに猫の精巣の入ったチューブを巻くと避妊効果があると信じられていたり、狼の尿の中に排尿すると避妊できるといった迷信もありました。もっと直接的な避妊法としては、禁欲や膣外射精(性交中絶法)という方法がとられていました。ヤナギやポプラなどの葉っぱや木の皮から作った避妊薬も、まことしやかに処方されていたようです。
中世になると、多くの女性が鉛、ヒ素、水銀などの劇薬に避妊効果があると信じ、服用した女性たちが死亡するということも起こりました。
また、女性が使うバリア法も数多くありました。膣の中に明礬を塗ったり、動物の糞、ライムやザクロなど植物の種などを挿入し、精子の進入を防ごうとしました。他にも、羊毛で作ったタンポンにワインを浸したもの、海綿なども避妊目的に使われていました。イタリアの作家カサノバは、純金の玉を女性の膣に入れるバリア法を使っていたと伝えられています。
そして、これらの方法が失敗した場合は、非常に危険な中絶方法がとられてきました。子宮口に灰を入れたり、桑の木を挿入するなりして炎症を起こし、中絶させるなどの方法です。結果として多くの女性の生命が奪われたに違いありません。
ピル P69『第三章 ピル誕生の歴史』 より

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