思考の消化器官

色々な感想文とか。生活のこととか。

『親指はなぜ太いのか』からの引用2

「擬人化の落とし穴」というのは、他の生物に限らず色々なものに感じることがありますね。自分の狭い常識の範囲内での想像力なんて当てにならないことが多いのでしょう。

アウストラロピテクス・アファレンシスは、樹木がよく繁っていたころのサバンナに住む古い種であり、ごく短い距離しか地上を移動できなかったのだろう(骨盤の異常なほどの広さは、エネルギー消費量が大きく、こっけいな二足歩行を意味している)」
これは、先入観をもった人類学者の典型的な文章で、「異常なほどの」とか「こっけいな」という形容詞は、自分にとっての「正常」な何かを前提にしている。幾度も繰り返して言うが、ある生命体がある形をしているときには、十分な生存のための理由があり、それが「異常」に見えるのは、こちらの想像力の外にそれがあるということにすぎない。生命の研究をするものが、「正常」や「普通」を自分のなかに前提として置いているのはひじょうに危険で、いつも擬人化の落とし穴に落ちる可能性がある。だから、「ごく短い距離」とどんどん空想を進めるのである。直立二足歩行に適した体は、「ごく短い距離」用ではない。それでは生存できない。むろん「こっけいな」二足歩行でも生存はできない。

親指はなぜ太いのか―直立二足歩行の起原に迫る P155『第7章 初期人類の主食は何か?』 より

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