『ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係』からの引用3
王様になった途端にやせ衰えていく、とか王様悲しすぎます。
繁殖に関わることができる王様(繁殖オス)は、群れに一~三匹存在する(図11・12)。群れ内では、女王に次ぐ地位を得ている。
と、書くと聞こえは良いが、要は女王の尻に敷かれているわけだ。メスたちが女王の座を巡って激しく争うのに対して、王の交代は平和裏におこなわれる。というのは、女王は群れでたった一匹しか存在できないが、王の座は群れごとに一~三匹と、椅子が多く用意されているからである。
それで、王様が女王と比べて安穏とした生活を送っているのかというと、どうやらまた異なった苦労があるようだ。丸々と太った体をしていた個体が王様になったとたん、少しずつやせ衰えてゆく、という観察事例が数多くある。また、王様の在位期間は、女王のそれに比べて短い。テストステロンというオスに多い性ホルモンの値を測定すると、王様は他の個体に比べ、高いレベルを保っている。男性ホルモンは免疫系を抑制するので、病気にかかりやすくなる、このことが在位期間の短さと関連しているのではないかと考えられている。
ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 P34『3 デバのくらし』 より
ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 生きもの)
- 作者: 吉田重人,岡ノ谷一夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/11/06
- メディア: 単行本
- 購入: 6人 クリック: 60回
- この商品を含むブログ (24件) を見る