『力士の世界』からの引用3
勝負の世界は厳しいですから、その勝負を裁く世界も厳しくなりますよね。スポーツと同列に語ってはいけないとは思いますが、ミスジャッジもそのスポーツの一部、みたいなことが言われるスポーツもあることを考えると、やはり厳しさには質的な違いがありますね。
差し違えとは、勝負判定を誤って、負けた力士に軍配を上げてしまうことをいいます。審判委員から物言いがついて協議の結果、行司の判定がくつがえされると差し違えになります。
あまり何度も差し違えると降格することもありますし、立行司の木村庄之助と式守伊之助が差し違えたら、その日のうちに理事長に口頭で進退を伺うことになっています。たった一回で、です。
行司が差し違えることを「黒星を取る」と言いますが、立行司の黒星は、それほど許されないことなのです。立行司は短刀を腰に差していますが、仮に差違えがあったら責任を取って切腹する覚悟を表したものと言われています。
力士の世界 P92『第二章 いつも厳しい勝負の世界』 より
- 作者: 33代木村庄之助
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