『物語 英国の王室―おとぎ話とギリシア悲劇の間』からの引用3
この秘書の伝言は凄いですね。映画のセリフみたいです。サッチャーはどんな反応をしたのか気になります。
女王との距離が近かったにもかかわらず、最悪の関係だったのが、サッチャー首相である。女性でしかも年齢が同じということが互いに反発させたのかもしれない。おそらく、独裁的権力を振るって”女帝”といわれたサッチャー首相が、自分を女王と同等の地位にあるような錯覚をしてしまったことが”不和”の原因ではなかったか。それを示す例がある。サッチャー首相が女王と公式の席で同席することが決まったとき、首相は秘書を通じてバッキンガム宮殿と連絡し、女王と洋服の色を合わせたい、との提案を行なった。女王はこれに気を悪くしたのだろう。これまた秘書を通じてダウニング一〇番地(首相官邸)に「女王は臣下の服装には関心を示しておりません」との伝言を伝えたのである。臣下が王の服を決めようとする非礼を指摘したのである。
物語 英国の王室―おとぎ話とギリシア悲劇の間 P47『Ⅱ 女王と権力』 より
- 作者: 黒岩徹
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1997/01
- メディア: 新書
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