思考の消化器官

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『皮膚感覚の不思議』からの引用6

実践したくなる内容ですね。『腕より顔』『触れる速度は一秒に五cmほど』…しっかりと覚えておくことにします。なんてためになる読書なのでしょうか。これからもこんな読書をしていきたいものです。

イギリスの歯科学者エシックたちは、皮膚のどの部位にどのような刺激を与えると、主観的な気持ちよさを感じるか、ということを調べた。
彼らは、ベルベット、綿、それにポリエチレンのメッシュで、被験者の顔と腕をそれぞれ三つの異なる速度で撫でた。すると、ベルベット、綿、メッシュの順に気持ちよさを感じることが分かった。そして、どの生地で触れた場合でも、腕よりも顔に触れたほうが気持ちがよかった。
さらに顔でも腕でも、触れる速度は一秒に五cmほど動かすときがもっとも気持ちよく、それよりも速くても遅くても、気持ちよさは低下してしまうことが分かった。この速さは、たとえば泣いている赤ん坊の背中をさすってなだめたり、マッサージをするときのゆっくりとした手の動きの速度であろう。
私たちは、相手を気持ちよくさせるようなときは、経験的あるいは本能的に、この速さで撫でているのだろう。
それでは、腕よりも顔のほうが気持ちよく感じたのはなぜだろうか。
赤ん坊やぬいぐるみを見ると、思わず頬ずりしたくなることがある。顔の皮膚、とくに口唇部や頬には、ネズミのヒゲと同じような役割、すなわち触れてその形状などの特徴を探る機能が残されている。そのため、敏感な顔のほうが、腕よりも快感を感じやすいのだろう

皮膚感覚の不思議―「皮膚」と「心」の身体心理学 P161『5-1 「気持ち良い」の正体』 より

皮膚感覚の不思議―「皮膚」と「心」の身体心理学 (ブルーバックス)

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