『パンダ ネコをかぶった珍獣』からの引用1
映像であれ、大抵の場合目にしたことがあるのは四川パンダなのでしょうね。図16の写真で見る限り、ちょっと茶色いかなあ、といった感じなので、もし動物園的な所で見たとしても気が付かなそうですが…。目の周りの模様の角度が違う、みたいなことだったら、確実に気付くでしょうけれどもねえ。
2003年の研究によると、現在パンダが生息する6つの山地や山脈のうち、陜西省の秦嶺山脈のパンダと、他の5地域(四川省と甘粛省の一部)のパンダとは遺伝的な隔たりがとくに大きく、少なくとも1万年の間、双方の交流がなかったとみられるという。
その後におこなわれた形態学的分析も、この結果を支持している。秦嶺のパンダは四川パンダに比べ、骨格が小さく、臼歯が大きいといった特徴をもつという。さらに毛皮の色も、四川パンダのクロとシロに対し、秦嶺パンダは暗褐色と褐色の個体が多くみられる(図16)。
これらのことから、四川のパンダと秦嶺のパンダは現在、「種」の下のグループである「亜種」のレベルでは別々とされている。ちなみに元祖パンダのレッサーパンダにも、ネパールの地域集団と四川省の地域集団があって、やはり別々の亜種とみなされている。
パンダ ネコをかぶった珍獣 P24『2 珍獣パンダのさらなる秘密』 より
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